「肢端紅痛症(したんこうつうしょう)」の稀少難病の生活は想像を絶して言葉にならなかった【インタビュー】

まいど!めいたく(@floor0429)です。

前回、ショウゴさん(@gorian91)の大阪城公園・車椅子・GoogleMap」を使った検証のお手伝いで、企画に参加させてもらいました。

その際に車椅子で参加していただいた、ぐれいすさん(@megrace_)に検証が終わってから、インタビューをさせて頂きました。

【驚愕】「大阪城公園・車椅子・GoogleMap」を使った検証のお手伝いをして分かった事実!!

2016.11.29

ぐれいすさんは「肢端紅痛症(したんこうつうしょう)」という稀少難病のお持ちの方で、この病気を医師でさえも知らなさすぎるので、もっと知って欲しいということから応じてもらいました。

参加者は上記企画と一緒なので、紹介は軽く。

参加者は

インタビューするのは3人

です。話の中から思いついたことを質問していきました。

答えてくれるのは

Gureisu

ぐれいす@肢端紅痛症を広め隊」の、ぐれいすさん(@megrace_)です。

肢端紅痛症(したんこうつうしょう)に関しては、情報がめちゃくちゃ少なすぎるので、ぐれいすさんのブログでチェックしてもらえると症状が分かります。

簡単に症状を紹介すると

  • 手や足、顔、耳などの末端に激痛が走る。
  • 皮膚の温度の上昇、発赤。
  • 全身の血管運動機能不全。

このような症状が出てきます。冷やすと症状が軽くなるからといって冷やすと、冷えて痛いのは病気の症状で痛いのか分からなくなる。難しすぎるでしょこれ。

肢端紅痛症(したんこうつうしょう)の当事者、ぐれいすさん

めいたく
今日は疲れているところ引き続きよろしくお願いします。
ぐれいす さん
よろしくお願いします。
めいたく
この大阪城公園で車椅子を押してもらってどうでしたか?
ぐれいす さん
車椅子ので移動は慣れているけど想像以上に困難でした。やっぱりランナーや自転車でスレスレを通っていくことは怖かったです。

時には邪魔なんだよってツバを吐かれたこともあります。もう慣れました。

めいたく
邪魔だからってツバを吐くってどういう神経してるんですかね、神経を疑います。

詳しいことは記事にしているので、大阪城公園の話はここまで。

いつ発症したのか?

めいたく
いつ発症したの?
ぐれいす さん
先天性の病気なのでいつというのはないですが、19歳のときに倒れて入院になったときかなぁ。

それまでも調子悪いけど、これが普通だったので倒れて始めて自分はおかしいんだって分かりました。

病名が分からない

めいたく
そこから今までどのようにしていたんですか?
ぐれいす さん
そもそも病名がはっきりしないところから大変でした。
めいたく
確かに、「肢端紅痛症」って読めないし、始めて聞いた病名でした。

ぼくは元福祉従事者だったので、そこそこ勉強はしていたんですが病名を知らなかったですよ。

ぐれいす さん
それはそうですよ。だって医師(以下、先生)ですら病名を知らないですから、先生が知らないということは、知られないということなんですよ。
めいたく
それは確かにそうですよね。先生が広めないと誰も分かりませんもんね。
ぐれいす さん
ずっと原因も病名も分からずでした。分かったときは先生が医学書をいっぱい持ってきて、「あの〜これだと思うんですけど……」という状態で病名が発覚したんです。
ショウゴ さん
ええ!! 先生の自信のなさはありえないですね。
ぐれいす さん
しかも、医学書にも治療法は載っていなくて、その状態で「肢端紅痛症」ですと言われました。
ごり さん
言われたときはショックだったでしょ?
ぐれいす さん
もうなんとなく分かっていたので、そこまでショックはなかったですね。
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そこからどうしたんですか?

ショウゴ さん
そこからどうしていったんですか?
ぐれいす さん
大阪府内でもトップレベルの病院なのにそこで分からないのに「自分で探してください」と言われました。

そこからドクターショッピングの始まりです。色んなところへ行って、病名を言ったところで分かってもらえない。

ときには「それって本当に病気なん? 」ということも言われました。

血管関係の病気なので、奈良県の奥の方の病院へ行ったり、心臓外科の病院へ行って、そこの先生から違う病院を紹介されて、そこでは病気を知らないからと投げられました。

ショウゴ さん
投げられたというのは?
ぐれいす さん
見捨てられたということです。それでも目に付く病院は、何科とか関係なく行きまくりました。

行った病院の数はもう覚えていません(笑)どうしよう又、病院がなくなったと途方に暮れることの連続でした。

めいたく
ぼくはそんなにやれるか自信ないです。
ぐれいす さん
命かかってるからそうも言ってられないですよ。病院がずっと見つからなくて、アレルギーを起こして入院したところが最初に言った病名が分かった病院だったんです。

そこで「1年間病院を探したけど無かったので、どうにかしてもらえませんか? と泣きついて頼んだんです。

すると麻酔科に回されて、痛みの緩和しか出来ないと言われました。そこで待っていたのはドクハラでした。

ドクハラって具体的にどんなの?

ショウゴ さん
ドクハラを受けたんですよね。ブログでみました。具体的にどんなことなの?
ぐれいす さん
「手足があるくせに何が障害やねん」とか「若いくせに、働け」とか言われた。

「手帳がないと何もサービスが受けれない」と言っても「甘えんな」と言われたんです。

めいたく
・・・・・・・・。(ぼくたち3人ともポカーン)
ぐれいす さん
手帳の診断書も障害年金の診断書も拒否され、病院内での認定医への紹介状も拒否されました。
ショウゴ さん
明らかにおかしいですね。でも、書かないと言われたらおしまいですもんね。
ごり さん
そんなことって本当にあるんですね。なんか怖いですね。
ぐれいす さん
それで何で書いてもらえないのか聞くと、「ぼくはそれを障害とも病気とも認めない」と言われました。

「ぼくは」という私情を挟まれたんです。

めいたく
医師としてあるまじき行為ですよねそれ。
ぐれいす さん
しかも「痛みなんか幻でしょ」と言われる。

明らかに腫れ上がってても「気のせいでしょ、手足あるじゃないですか! 」と言われました。

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指先が膨らんで腫れているのがわかるでしょうか。冷たくしていないと痛くなるので、手はずっと氷のように冷めたかったです。

 

めいたく
それって医師としてというよりも人としてどうなの? って思いますよ。訴えてもいいレベルですよそれ。
ぐれいす さん
(笑)それに治療も全然効かない薬を出され、体重以上の合わないすごい量の薬を処方されてしまったんです。

しかも拒否したら怒られる。珍しい病気だからとその処方した薬で論文を書きたかったらしくて、薬が効かなくて書かれへんくなったらいらん言われた。

すごく怖かった、恐怖でしかなかった。

ごり さん
え、ちょっと待って「痛みが幻、病気や障害とは認めない」って言ってたのに薬で論文書きたいって矛盾してません?
ぐれいす さん
あ、分かっちゃいました。そうです矛盾しています。

痛みの緩和が出来るとか多少マシになる実験台ならいいけど、全く効かない薬を異常に出されると困るから反発しました。

めいたく
実験台て・・・。全く効かないから反発をするのは普通のこと。間違ってない。
ぐれいす さん
色んな種類の薬を勧められて、途中でいきなり1つの薬を推すようになったんです。

その推し方が異常でした、MRさんと出来てんの? ってくらいのレベルで推してきて勘弁して欲しかった。

痛みの緩和も出来てないのに「痛くないやん」て勝手に決め付けられて、もて遊ばれてました。

ショウゴ さん
障害者ってそんな風に軽く見られがちですもんね。分かります。
ぐれいすさんは今回、病院名も言って教えてくれましたが、特殊な病気名で稀少難病なだけに特定されてしまうので病院名は伏せさせていただきます。
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効かない薬ってどうやって分かったの?

ごり さん
症状に効かないってどうやって分かったの? そのタイミングは?
ぐれいす さん
それは痛みや腫れが全く引かなかったんです。しかも逆に悪化していったからです。

何もしていないときの方がよかったと思えるくらいでした。

両親はどう思っているの?

めいたく
ここまで送ってきてもらった人はヘルパーさんと言ってたけど、ご両親はどう思われているの?
ショウゴ さん
それはぼくも不思議に思っていたんですよ。気になります。
ぐれいす さん
実際に倒れているのを見ているし、病名も分かっています。「死ぬ」とも言われているのも知っています。

それでも病気に対して理解がない。なので全部1人でやっています。

実家にいる訳ではなく、施設にいるのはなぜ?

めいたく
施設にいて生活されている訳で、実家にいないのはなぜ? 両親との関係の問題?
ぐれいす さん
はい、親との関係は良くないし、自分の病気のこともあるので実家を離れました。

それに自立もして行きたいし、自分で出来ることをやっていきたい。

今現状ってどうなっている?

ショウゴ さん
手帳やサポート体制、今の生活はどういう状況?
ぐれいす さん
私が1人で「府や市」へ、「主治医や認定医が書かないと手帳を取れないのか? 」とか色んなところへ聞きまくってやっと光明が見えました。
ショウゴ さん
どういうこと?
ぐれいす さん
「今のぐれいすさんの身体状況を分かっている先生に書いてもらって下さい。こちらは状況は分かっているので」と言ってもらえました。
ショウゴ さん
それでどの先生に引き受けてもらえたの?
ぐれいす さん
脳外科の先生に引き受けてもらえました。それでも全部の病名は把握されていません。なので症状が全部入った診断書ではないので、軽くなってしまっています。
めいたく
でも大幅な前進ですよね。ちょっと安心しました。
ぐれいす さん
軽い等級で出る予定なので、話合って理解してもらって順番に等級を上げていかないと満足な補助や介護が受けれないです。
通常の難病指定を受ける流れは、自治体から申請書類をもらい、難病指定医師に診断書を書いてもらって、書類一式を揃えて自治体へ提出し、申請が通れば手帳を受け取るという流れです。
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制度の問題点はどこだと思いますか?

めいたく
制度の問題点はどこだと思っていますか?
ぐれいす さん
病名がいっぱいあっても、どれも引っかからない。悪性でもなかったり、場所が悪くて。

全部制度の谷間に落ちてしまっている。どれだけ酷い症状だとしても「関節は動くやん」とか、皮膚が異様に熱くなっていたとしても、そんな症状はよくあるだとか言われる。

めいたく
どんな病気でも障害まではいかない症状ってことなんかな?
ぐれいす さん
そうです。

ぐれいすさんと同じ病気の人は他にいるってことですよね?

めいたく
ぐれいすさんと同じ病気の人は他にいるの?
ぐれいす さん
九州に1人この前いると知った。それまでは私1人でした。聞いた話だと50年前に1人おったというレベルですと言われた。
ごり さん
そんな稀少難病も稀少すぎるでしょ!!
ぐれいす さん
この肢端紅痛症には二次性というものもあり、元の病気のせいで同じ症状が出るんです。

これは治るんですが、それですら日本で10名いるかいないかです。これと同じ扱いをされてしまうのも困りもんです。

ショウゴさんにも同じようなことがあった

ショウゴ さん
私もたくさんありましたよ。日常生活でどこを気をつけたらいいかと聞いているのに何も返ってこない。

相手にされなくてちゃんと話をしてくれないんです。

ごり さん
病名を分かっててもですか?
ショウゴ さん
はい、病名が分かっててです。病名を分かってても、治療方法がないわけで先生もどう対処していいか分からない。

なので当てにならない。自分で考えるしかない。それに返ってきたとしても当たり前のことしか返ってこない。

ぐれいす さん
分かっとるわ!! ってなります。先生より患者の方が(稀少難病に関して)詳しいこともざらにある。
ショウゴ さん
本当にその通りです。
ぐれいす さん
今、取り上げてきたのが「線維筋痛症、慢性疲労症候群」という、痛みや疲労が消えない病気です。

ですが理解されていないんです。ただ患者数がすごく多い。それでも難病指定されていない。

しかもこの線維筋痛症はある日突然治るんです。重症化したとしても突然治る。なので余計に難病指定されない理由なのかもしれません。

それと同じ病気の人が多すぎても難病指定されません。

めいたく
それだけ多いから難病じゃないということでしょうね。
ショウゴ さん
医者っぽくない人の方が安心かもしれない。
ぐれいす さん
私も同感です(笑)
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今後はどうしていきますか?

めいたく
今後はどういう風にすごしていきますか?
ぐれいす さん
まずは等級を上げて生活を安定させたいです。今は手帳なしの状態で優秀なケアマネさんが付いてくれたので、特別に一人暮らしが認められて最低限の介護も受けれています。

仕事をしたいから保護を切りたいんです。手帳があれば働きながら生きていけます。自立がしたい。

ここでは1人暮らしと言っていて、「施設で過ごしているのはなぜ? 」という質問のところでは施設で過ごしていると言っています。

誤解がないように説明すると、普通のマンションで1人暮らしをしていて、そこに介護士、看護師が同じ建物に常駐しているということです。サービス付きの施設と言えば分かりやすいでしょうか。

介護保険を受けている方でしたらスグに理解出来ると思います。

めいたく
手帳の等級は今の所確定していて、手帳が出る診断書待ちということでよかったですか?
ぐれいす さん
はい、そうです。
ごり さん
やっぱり心ない人から色々言われますよね?
ぐれいす さん
それは健常者、障害者の区別なく口撃はされまくります。

言い返したいですが、言っても始まらないので我慢しています。

ショウゴ さん
我慢してしまいますよね。。。それではこれで終わりにします、最後に一言どうぞ。
ぐれいす さん
取材にはたくさん来て欲しい。そこで知ってもらって稀少難病でも生きやすい環境を作りたいって思っています。最小限のサービスで自立がしたいです!!
ショウゴ さん
早く自立出来るといいですね。長い時間、ありがとうございました。お疲れ様でした。

ぐれいすさんの取り組み

ぐれいすさんの取り組みとして、先生にこんなことを言われました。と言われたことをツイッターで固定ツイートしたら同じようなことを言われましたいう人がたくさん集まってきてスゴイ反響があったそうです。

同じような人がいるんだなと元気をもらったと言っていました。

ぼくもこれを機会にツイッターのフォローをさせてもらったんですが、それぞれ個別に真面目に返信しているのは感心しました。

めちゃくちゃ勉強しているし、賢い人だなぁって思いました。何か手助け出来ることがあればいつでも言って貰えば手伝いますよ!

ぐれいすさんに質問や取材依頼、ブログに取り上げて欲しいとかあれば、ぐれいすさんのブログの問い合わせから依頼してください。

ぐれいすさんの(@megrace_)ツイッターからでもどうぞ。

批判や中傷とかじゃない限り、見落としていなければ返信は必ずあると思いますよ。

まとめ

ぼくは昔から稀少難病には興味を持っていて、結構調べたり聞いたりしていました。でも肢端紅痛症という難病を知らなくて悔しかったんです。

話を聞いていくと、もっと難病の数は多い、数知れないということも聞かされました。もっと勉強しないとなって思った次第です。

ショウゴさんやぐれいすさんのように難病当事者を、側で目の当たりにすると改めて考えさせられます。何か出来ることはないかってね。

インタビューさせてもらって、賢い人だなっていうのとめちゃくちゃ明るいのにはビックリしました。

さらっとしんどいことを言ってケロっとしている。前を向くしかないことを知っているんですね。その強さは尊敬の域に値します。

どんどん取材されて、大きく知ってもらえて講演やブログで生計を立てれたら、一石二鳥で思いが叶えられますね。

応援していますよ!!

さいごに

しかし、ぐれいすさんは、訳わからんおっさん2人と若者1人によく恐怖もなく応じてくれたもんです。強いなぁ〜。

ゆるくいこー。

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