まいど!元福祉従事者のめいたく(@floor0429)です。
今回、ブログサロンの「ヨッセンスクール」の中で「企画のお手伝いをしていただけませんか? 」という呼びかけがありました。
企画の内容の詳細は前日の勉強会(オフ会)までは分かりませんでした。でも「何だか楽しそう!!」という直感で予定をやりくりしてお手伝いしてきました。
お手伝いしていて分かったことがたくさんありましたので、その内容も含めてお手伝いしてきたレポートを書いてみようと思います。
企画の主旨は?
この企画は
GoogleMapに出るルート案内を、車椅子で大阪城公園を1周回ったら予定の時間通りに着くのか? を検証します。
GoogleMapにはルート案内(ナビ機能)を利用して車椅子を押してどれくらい時間がかかるのか調べてみようってこと。
最初はぼくも、「いやいや押すのは健常者なんだから徒歩と一緒でしょ」という考えでした。しかし違いました。
どれだけ違ったかというと、GoogleMapのルート案内で表示された2倍の時間がかかったんです。この結果にはビックリしました。ではなぜこれほどかかったのか? かかった理由と驚きの事実もありました。
まずは参加者の紹介からです。
企画者は?
この企画の呼びかけをした人というのは、ショウゴさん(@gorian91)という方です。以前「希少難病の企画」に賛同して記事を書いたこともあります。
自身もベッカー型筋ジストロフィーという希少難病をお持ちの方で、「筋ジスですが何か?」というブログを運営しておられます。
筋ジストロフィー(きんジストロフィー、英語:Muscular Dystrophy)とは、筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称である。
via: 筋ジストロフィー – Wikipedia
車椅子に乗っているのは誰?
この企画検証にはいないと始まらない。車椅子の当事者、ぐれいすさん(@megrace_)という方です。
ぐれいすさんは、「肢端紅痛症(したんこうつうしょう)」という希少難病をお持ちです。日本では数名しかいない難病で、未だにうまく難病指定されていないんだそうです。
ぼくも今回初めて知ったんですが、医師でさえ知らない人がほとんどと聞かされて、ぼくの親友でぼくの専属看護師に聞いてみたらやはり知りませんでした。
たくさんの方に知ってほしいということで、この企画に参加されました。「ぐれいす@肢端紅痛症を広め隊」というブログで色々と情報発信されています。
撮影・車椅子サポート
企画者のショウゴさんは筋ジストロフィーということから、ぼくたちの様に身体が動かせません。なのでお手伝いが必要で、ヨッセンスクールで知り合った、ごりらさん(@goriluckey)が撮影をお手伝い。
ごりらさんは京都に生まれて、ごりらに育てられ、、、失礼。子供と一緒に体験したことを「ごりらのせなか」というブログを通して発信しています。
この似顔絵はそっくりすぎてビビります。
車椅子のサポート
車椅子のサポートは、ぼく めいたくが引き受けました。元福祉従事者で、7年ほど休みの日以外は毎日車椅子を扱っていたので、しっかりとサポートしていきます。
大阪城公園の1周をスタート
大阪城公園駅を降りてスグのところから、反時計回りで歩いて、また大阪城公園駅前まで戻ってくるというルートです。
出発前にぼくなりの車椅子のサポートする上で気をつけている点を紹介しますね。
- 身体の状況を確認すること。
- 何をするにしても声をかけること。
- 押す速度は怖いと思わせないこと。
- 急な操作はしないこと。(緊急回避は除く)
- 信頼関係を作ること。
以上のことを主に気をつけています。
1. 身体状況を確認すること
身体の状況がどういうことかの確認は絶対に必要です。何も難しくなく簡単に出来ます。ぼくは「身長・体重・体幹・足や手の筋力」くらいを軽く確認します。
それを確認することで取り回しが変わってきます。ぼくは最初体重を聞きました(笑)女性に対してって恐らく思われたかもしれませんが、必要です!
押せば分かるやろと言うかもですが、分かりますがそれはコミュニケーションのために聞きます。それによってムッとされる人をぼくは知りません。
障害を持っている人は、「女性に体重を聞く」ことよりももっともっとひどい罵声を浴びせられているからだとぼくは認識しています。
間違ってたら申し訳ないですが、ぼくはそう感じています。それほど風当たりは強いということ。
2. 何をするにしても声をかけること
車椅子を扱っている中で、変わったことをする場合には出来る限り声をかけてください。
変わったことと書きましたが、「止まっている状態から押す」とか「右のほうへ曲がります、少しスピード上げます」といった普通のことです。
何も言わないと、本人は落下することがあります。車椅子は後ろから押します。後ろには人間、目が付いてませんよね。
前から何かするのなら見えるから分かりますが、後ろからだと全く分かりません。
例えば、普通に立っていて後ろから軽く押されたらビックリしますよね? もちろん本人は後ろに人がいるのを知っています。でもビックリする。そういう状況なんです車椅子を押すということは。
なので段差を越えるときや下りるとき、出発、停止等、声をかけてください!
3. 押す速度は怖いと思わせないこと
車椅子に乗っている本人は、ぼくらが思っているよりも速度に対して恐怖心があります。それは目線が低いから体感速度が違うからです。
それに、体幹がしっかりしていないと止まるときに前へ落下してしまうこともあります。ここも声かけが必要です。「速度早くないですか? 」この一言でめちゃくちゃ安心してくれます。
4. 急な操作はしないこと
車の運転でもなんでもそうですが、脅かす以外で急な操作って必要ありません。もちろん緊急回避は別ですが、「急発進、急ブレーキ、急に曲がる」は必要なし。
「急に曲ガール」は仮面ライダードライブでは必要でしたが(笑)余談すみません。
こんな急斜面の坂を一気に上がろうとして、走っていくとかはもっての他です。声をかけたとしても危ないです。
5. 信頼関係を作ること
1〜4まで色々と言いましたが、どんな方法でもいいので信頼関係を作ることが重要です。当事者は「あ、自分のこと考えてくれて押してくれているな」って感じてもらったら問題ありません。
その信頼関係を作ることで、押し方のクセをも見分けてくれます。すごく敏感なんですよ!
以上の5点を知っておくだけで、車椅子に乗っている人が快適に気分良く乗れるようになると思います。5点気をつけて取り扱ってみてください。
こういったことを気をつけて参加していました。
人の目
検証をスタートして少し歩くと、大阪城ホールでライブがあったから人が多かったです。分かってはいましたが、そういう中で車椅子を押して歩いていくとジロジロと見られます。
特にぐれいすさんのように若い女性だと余計に目を引いてしまうんですよね。
ぼくはそういうのに慣れているので、なんとも思わないのですが、ぐれいすさんはどうかと聞いてみました。
そうですよね。そんなこと言ってられませんよね。でも気になることを言っていました。
と言っていました。確かに慣れていないと人の目は気になってしまいますよね。こういうことからも障害を持っている人が気を遣っているのが分かります。
自己満足なバリアフリー化
そういった目の話をしつつ進んでいくと、早速の難題、階段です。でもよく見るとちゃんとスロープがありました。
もちろん後ろ向きで降りていきます。手がすっぽ抜けたり、持ち手が抜けたりすることもありますので、斜面と相談しながら判断していきます。
それは当事者にも確認していきます。コレくらいなら大丈夫と言われても、自分が無理だと思ったら自分に従ってください。
とかなんとかしてたのもつかの間。スロープを利用して登ってくる人がいました。画像をみても分かる通り
このスロープ、車椅子1台通ってたらすれ違うことが出来ません。ヘアピンの折り返しのところで何とかすれ違いましたが、通路では無理です。
ここで問題があることに気づきました? ぼくたちが降り始めているのに、その人たちは登ってきました。この行動どう思いますか?
言いたかったけど言いませんでしたが、内心は「こっちが降りるまで待っとけよ 怒」でした。使うなとは言いませんがなぜ待っとけないのか不思議で仕方ありません。
それに狭いところですれ違うというのは、車椅子に乗っている人は立っている人の肘の辺りに顔がくるんですね。
肩からカバンをかけてた場合だとどうでしょう。当たらないにしても怖いって思いますよね? 理解していないんでしょうねこういう人は。
スロープは緩やかに作ってあったし、すれ違い問題はありましたが、難なくクリアしました。最初からコレなので先が思いやられますが。
行きはヨイヨイ帰りは怖い
「寒いけど川沿いで気持ちいいね」とか何とか言ってると前方に
何だか障害が見えてきましたよ。
めちゃくちゃ傾斜がある坂があらわれた! 「そのまま登る」「引き返す」「投げ出す」「手伝ってもらって登る」さてどれを選びましょうか。
幸いぼくは力がある方なので「そのまま登りました」が力のない人だとまず厳しいでしょう。
力がない人でも先ほどのスロープは問題なくいけるでしょう。でもその先にある登るためのスロープで力がない人だと登ることが出来ないという公園の作りってどうなんでしょうか? 疑問です。
ショウゴさんも筋ジストロフィーの難病を持っているので、「手すりを利用しないと辛い、手すりがあってよかった」と言ってました。
それくらい障害を持っている人って少しのことで不便になってしまいます。
段差と言う恐怖
公園に入るところには勢いよく自転車やバイクが入れないように柵が設けられています。スピードを落としたら入れるようにはなっている作りです。
その弊害で車椅子の場合は、くるくるとヘアピンを回る感じで入らないといけません。このときには車椅子の幅と長さに違いがあるので気をつけないといけません。
それもかなりギリギリで作ってあるので、慣れていないと足をぶつける可能性が高いです。特にぐれいすさんは、触るだけで激痛が走るという難病の持ち主なので、当ててしまった日には大変です。
意外と車椅子の扱いに慣れていない人は、この壁に足を当てることが多いです。下半身が麻痺している人だと当たっても何も感じないから何も言いません。傷を負って化膿していたなんて事例も聞きます。
もう少し大きくしてくれたらいいのにって思います。足踏みでの昇降機とかあるからそれもうまく考えたらいいのにとも思いました。
大阪城公園には、歩道ぽいところと車道ぽいところがあります。その都度段差を登ったり降りたりします。
それくらいは特に問題はないですが、その歩道が
こんなに隆起しているところは勘弁して欲しい。整備するのが普通。健常者でも引っかかるレベルです。段差に対して90度に入るのは基本なのでそこを意識して操作します。
まず左の方へ乗り越えます。
次に少し方向を変えて
乗り越えます。段差に対して直角、90度で入らないと、前輪と後輪が浮いて非常に危険です。
このときに ぐれいすさんが分かりやすく当事者視点の動画も撮っていたので、ぐれいすさんのブログ「ぐれいす@肢端紅痛症を広め隊」でアップされるのかな。
人が怖い
陽気も曇ってはいましたがいい感じ。イチョウ並木を目にしつつ気持ちよく進んでいきます。
するとランナーや自転車に乗った人がビュンビュン車椅子のスグ傍を走り抜けていきます。ものすごい勢いでです。
少し後ろを見ようものなら目の前、数センチを走っていくんです。極力ランナーのくる方向にぼくの身体を出して傍を通れないようにしてはいたんですが、そんなのおかまいなし。
しかも、ランナーの肘の位置はぐれいすさんの顔の位置です。止まっていてもダメだけど走っていて腕を振っているわけなんですね。危なすぎです。
何度「危ない!!」と言って蹴ってやろうと思ったか分かりません。しかも目の前で止まられると車椅子の行き場所がなくなります。
こっちはどうすればいいの? とぐれいすさんが言われていたのが印象的でした。
ぐれいすさんいわく
とのことです。ぼくも気をつけてはいるつもりですが、完璧かと言われたら「はい」と自信を持って言えない。
それは車椅子と目線が違うからに他なりません。ぼくの身長は175cmです。目線を平行に移動させれば車椅子に乗っている人は見えません。
目線より下にあるから必然ですよね。
吉本新喜劇の池乃めだかさんのネタじゃないですが、そんな状況になったときを考えると言えないですね。
ごりらの初体験
ある程度平坦な道が続くなと、ぐれいすさんの厚意により、人生で始めて車椅子を押すというごりらさんにバトンタッチ。
後ろからでも背中で緊張しているのが分かって、ちょっと面白かった。肩に力が入ってガッチガチ(笑)
ぼくは危険がないようにと、いつでもサポート出来るように傍を歩きます。
ごりらさんが慣れてきたころには少しスピードアップしてました。「初体験ばかりや」と押してみて分かることが多いと言ってました。
ごりらさんは2人お子さんがいる父親です。ベビーカーを押していた体験から
と言ってました。同じようなもんと思っていたみたいですが、「考え方が変わった」そうです。それと
とも。ですよね。
慣れてきたときが危ない
慣れてきたときに事件が起こりました。ごりらさんが方向を変えようとしたときに、前輪が引っかかったんです。
それもちょっとした段差です。1cmもないくらいのもの。これは危ないとそこをごりらさんが撮影しました。
この撮影する行為が危険だったんです。それはなぜか分かりますか?
撮影しようとカメラを手に持って車椅子を離してしまったんです。そんなときの為にぼくがいるわけで、問題はありませんでした。
幸い平坦なところでもあったので何事もなく。
車椅子の操作に慣れていないと、よくやってしまいます。手を離すときはいくら平坦なところでも駐車ブレーキをかけることが大事です。
そうやってクセづけをしておけば自然に出来るようになります。
これで傾斜があるところだと、転がっていってしまいます。よくベビーカーが転がっていくドラマとかありますがアレです。
ごりらさんも驚いていました。経験したからこそ分かるので、今後は絶対にしなくなるのでこれはこれでOKです。
ぼくもやはり慣れていないとやりがちだなと再確認出来ました。
企画の検証結果は?
特に問題もなくゴール!! 出発した場所、ゴール地点の大阪城駅前まで戻ってきました。そして企画の検証結果はというと冒頭でも書きましたが、
GoogleMapでは約45分と出ていたところ約1時間30分かかりました。予定の2倍の時間がかかりました。
もちろん撮影もしていましたが、止まって撮影なんて数回。ショウゴさんが、どのルートから行くのがいいか考えたり、ごりらさんが先に走って道路の状況を確認してくれたりしてたのも少しの時間。
そして、ぼくの車椅子の押し方も「特にゆっくり歩いていたわけでもなく、安全に配慮して周りの状況に合わせて押していた」ので特別なことはしていません。
それでもこれだけかかるって、車椅子の人、障害者はどれだけ毎日ずっと精神をすり減らしているのかって思うとゾッとします。
場所を変えて取材
場所を変えてインタビューさせてもらおうと移動していて、横断歩道を渡るときのこと。横断歩道の信号は「青」でした。
でも渡るのは止めました。ショウゴさんも同じ判断。
横断歩道を渡るときは信号が青に変わってスグに渡り始めないと渡りきれないことが多いんですね。
特に道幅が広かったり、行ったことがない知らない土地の信号だったらなおさらです。
信号を待っている間の歩道が狭い。そうすると横断歩道の方を向いて待てないです。
それは車椅子の幅より、車椅子の全長の方が長いので、歩道を塞いでしまって人が通れなくなります。
なので横を向いて待つことになります。そうすると横断歩道に向かって傾斜が付いているので、傾いてしまいます。
その傾きがある中で状態を維持するのはかなりの力が必要です。信号が変わって方向転換しようとしても歩行者が邪魔でスグに方向転換が出来ない。
なので人がいなくなるまで待たないといけなくなります。歩行者が方向転換お為に待ってくれることはほとんどありません。
やっと歩き始め、半分まで来たら信号が点滅。予想通り。結局、道路の途中にある中央分離帯のところで待つことになりました。
最初の出だしがすんなりいけたとしてもギリギリだったでしょう。周りの少しの気遣いが危険回避となるので、もっともっと理解を深めて欲しいなって改めて思います。
※インタビュー記事は後で書きます。インタビュー記事「肢端紅痛症(したんこうつうしょう)」の稀少難病の生活は想像を絶して言葉にならなかった【インタビュー】を書きました。
心の底からの言葉
終わったときは当然のことながら、ぐれいすさんは途中で何度も何度も
と言っていました。押しに来たんだしありがとうってことでもないのになって思ったんだけど、何度も言ってくれるもんだから考えてみました。
それほど押してもらえるって貴重なんだな。助けがないと生活出来なくていつも感謝の気持ちでいるんだなって思いましたよ。
もっともっと障害者に優しい環境が出来上がって欲しいです。みんながもうちょっと気にかけて優しくなって欲しいものですね。
まとめ
今回、検証する企画に参加してみて、たくさんの驚きや再確認、人というものに触れて充実した時間でした。
それに、短い時間でしたが、めちゃくちゃいい関係が築けたと思います。参加者の3名は良い人たちで楽しかった。
ときにぼくの回りくどい説明に耳を傾けてもらってありがとうございます。
たまに見かける、「障害者なんやぞ! 障害者には優しくしろ! 」なんて言っている人は消えて欲しいです。そういう人が1人いるだけで障害者に対する風当たりが強くなったりしますからね。
今回こんな機会を与えてくださってショウゴさん、ぐれいすさん、ありがとうございます。ぼくは全力で応援します。何かあればまた声かけてください。
ごりらさん撮影、サポートありがとうございます。楽しかったです。
少しでも希少難病の方に追い風が吹きますように。
ゆるくいこー。
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